サッカー日本代表、豪州戦振り返りと「川崎産」が多い日本代表について

  • 2022/03/26
  • 2022/03/26
サッカー日本代表

運命の3月24日―。
日本代表はオーストラリア代表とアウェーの地で戦い、見事勝利し2022W杯カタール大会への出場を決めた。

グループB 2位の日本代表は、同3位に位置していたオーストラリアに勝てばW杯出場、負けてしまうと逆転極地に立たされる可能性のある大一番だった。結果は2-0。

コロナ禍に入ってから日本国内ではまだ声を出しての応援が許されていないが、この日のオーストラリアのスタジアムでは久しぶりにアウェーながらも日本から駆けつけたサポーターの声が響いていた。 アジア最終予選残り2戦という佳境で、日本代表はW杯への出場権をサポーターと共に強く掴んだ日となった。

打ち合いとなった前半戦

アジア最終予選が始まり、3試合を終えて1勝2敗という絶体絶命のピンチで迎えたホームでのオーストラリア戦。この試合で負けた時には森保監督の進退問題にも発展するといわれていた試合だった。この試合を前に森保監督は従来の4-2-3-1ではなく、4-3-3を選択。その結果ホーム埼玉スタジアムを揺らす宿敵オーストラリアに2-1で勝利したのが、昨年の10月のことだ。

3月24日、オーストラリアの本拠地に乗り込んでのW杯出場を懸けた大一番。勝利でW杯出場が決まる試合だが、必要最低限の引き分けで良いという計算もあったであろう。

引き分けの場合、互いに勝ち点1を積み上げる形となり順位に変動はなく2位のまま、残りの最終の試合ベトナム戦で勝ち点3を積み上げることで、確実にW杯出場を決めるという道筋も選択肢としてあったはずだ。

この日の布陣はエースの大迫、不動の右サイドバックの酒井が欠場だったが、前回オーストラリアに勝利した時同様に4-3-3で挑んだ。注目された大迫のポジションには森保監督の申し子である浅野、右サイドバックの位置には川崎フロンターレの山根が入った。

日本は、0-0でも良いと守備的に引いた状態で試合を進めるのではと予想していたが、試合が始まってみると攻守が入れ替わる打ち合いの展開に。

オーストラリアとしては勝ち点3が欲しいところで、オーストラリアが組織的に攻めてきて日本代表はそれを全員守備で跳ね返し、カウンターという展開かと思われたものの、思ったほどオーストラリアが前線からプレスをかけてボールを奪いにくるという形ではなく、日本側のパスが自在に通ってしまう形となり積極的に攻撃を仕掛ける展開となった。

効果的な攻撃が続くも、なかなか決めきれない日本に対して、ボールを奪うと前線2トップのみで打開しカウンターを仕掛けるオーストラリア。カウンターを受けて危ない場面も多く、攻めることで出来てしまうスペースを速い形で攻められる、といった試合展開が続いた。

選手交代により相手を翻弄した後半

引き分けでいいという試合の展開ではなく、選手たちからはなんとしてもこの試合で決めたいという想いが伝わってくるかのように、何度も果敢にオーストラリアゴールを脅かす攻撃を続ける。試合後選手たちが「オーストラリアは後半に運動量が落ちることはわかっていた」と言葉にしていたように分析されたデータが頭にあったであろう日本の選手たち。

後半は相手の体力を奪う落ち着かせた展開から、選手交代によりアクセントをつける。

より強いアクセントになったのは、三笘薫と原口元気の投入であろう。 2枚同時投入となった攻撃のカードは、オーストラリアが疲れてきた時間帯に攻撃のシフトを何段階も上げた。 前線で駆け回り、疲れた相手を翻弄させながら、ついに均衡を破る。

後半44分、川崎フロンターレホットラインが阿吽の呼吸でパスを供給。 山根から守田を経由し、守田から再び山根へ。そして三笘へと届けられたボールはグラウンダーのシュートとなり、ゴール。

ベンチ総出で歓喜する日本は勝利を確信したが、それだけでは終わらないのが、三笘薫という次世代エースの力。 AT試合終了の笛が鳴るであろう直前に今度は、三笘が得意とする独自の緩急をつけるドリブルで相手を交わし放ったシュートをゴールに突き刺した。 三笘2得点の大活躍で、日本は2-0勝利。W杯への切符を掴んだ。

「川崎フロンターレ産」が多い現在の日本代表

酒井宏樹欠場により右サイドバックを務めた山根視来は川崎フロンターレに所属し、現Jリーグトップクラスの右サイドバック。

ポルトガルのサンタクララでプレーする守田英正は、名門・流通経済大学から川崎フロンターレに加入し1年目からスタメンに名を連ね日本代表に選出。 今では日本最大の武器といえる3ボランチの欠かせない1選手となっている。 その3ボランチを担う田中碧もまた、川崎フロンターレで同じくプレーした東京五輪世代。

そして、2ゴールを決めた三笘薫も川崎フロンターレで幼き頃から育ち、筑波大学を経由して川崎フロンターレに加入。 1年目で13得点とFWの選手ではないにも関わらずJリーグ新人最多タイの活躍をみせ、ベストイレブンに選出された。 東京五輪代表選手としてプレーしたあと、海外移籍。現在はベルギーのユニオン・サン=ジロワーズでプレーしている。

日本代表に選出されている旗手怜央、谷口彰悟、そして川崎を離れて長いものの川崎で育った板倉滉を含め7名が川崎フロンターレに所属したことがあり日本代表に選出された選手たち。

久保建英も幼き頃は川崎フロンターレの下部組織からスタートしていることを考えると、「川崎産」は非常に多い。 川崎が圧倒的な強さを誇ったここ数年、そして現在の強さを考えても今日本を代表する選手たちの多くが「川崎経由」であることがわかる。

この日の日本代表1得点目は、川崎フロンターレで共にプレーしていた3人による崩しで得点を奪った。 お互いのプレーを理解している間柄ということもあり、信頼と予測でキレイにボールがハマり、組織的に崩した1点となった。

ここまで森保監督は、東京五輪を含め積極的とはいえない三笘の起用法に疑問が上がったことも多かったが、三笘投入による采配が完全に吉と出た結果となった。

残り1試合を残して、グループBの2位以内が決まり日本のW杯出場が決まった。 最終戦は29日埼玉スタジアムで行われるベトナム戦となる。

残り1試合、W杯本戦に向けフレッシュな選手たちを起用し、明るい材料を見出す機会としてもらいたいものだ。 久保を始めピッチの上で結果を出したい若い選手たちがウズウズしているに違いない。 格下であるベトナムにしっかりと勝利し、カタール大会に向けて良いスタートを切ってもらいたい。

日本代表vsベトナム代表
3月29日 埼玉スタジアムにて19時35分キックオフ。

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カテゴリ:サッカーコラム

この記事を書いた人

サッカー専門ライター

国内、海外を問わず、最新のサッカー情報を投稿しています。趣味はサッカー観戦です。Jリーグはもちろん、プロ・アマ関係なく、全国津々浦々にサッカー観戦に出かけています。

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