Jリーグ銀河系軍団ヴィッセル神戸、8戦未勝利も新監督が見せた可能性
- 2022/04/05
- 2022/04/05
今季初めてのACL参戦組として戦っているヴィッセル神戸。
昨季リーグ3位の位置を射止め念願のACL出場権圏内、リーグ上位クラブとして堂々結果を残したが、今季は現在17位。果たして、神戸はこれから巻き返せるのか?
ヴィッセル神戸の現状をまとめていく。
目次
開幕から1ヶ月で監督解任
リーグ開幕からわずか1ヶ月で三浦淳寛監督との契約を解除。ACLのプレーオフでは勝利を飾り本戦出場を決めたもののリーグでは7戦未勝利となり契約解除となった。
4分3敗という苦しい状況に加え、大迫や武藤といった攻撃陣の要を負傷というアクシデントが襲ったことや、長期離脱となってしまった主力選手が重なってしまったことも痛手となったことは間違いない。
日本代表活動期間に入る前に新体制となった神戸。 リーグ再開後の1試合目が注目されたが、12年ぶりの対戦となった京都サンガに1-3で敗れ、順位はついに17位となってしまった。
リュイス新監督がみせた新たな神戸の形
三浦淳寛前監督の後を率いることとなったのは、リュイス・プラナグマ・ルイス氏。リュイス監督は今季から神戸に新設されていたヤングプレイヤーデベロップメントコーチだった。このヤングプレイヤーデベロップメントコーチは、若手の育成指導を行うことに特化したコーチとして新設された。
リュイスコーチはスペイン1部のビジャレアルやエスパニョールなどの育成組織にて指導経験があることで知られ、神戸の今後の若い選手たちの強化に携わる予定だったが、暫定的に監督に就任。
リュイス監督が指揮をとるということで若手の積極起用もあるか注目されたが、まだ指導の期間が短いこともあってか起用メンバーに大きな変動はないようにみえたが、試合が始まってみると変化は明らかだった。
まず、フォーメーションが4-4-2のダイヤモンドから4-2-3-1という形をとっていた。1トップに大迫を配置し、3枚の前線…特にサイドハーフが大迫を中心とした攻撃のサポートと厚みとして大きく機能した。
カウンターから奪われた3失点などまだまだ課題も多く残された状態で敗戦となったが、敗戦の中にも新しい神戸が見えた試合となった。
新監督は神戸の至宝「イニエスタ」をどう起用するのか
神戸の中心選手といえば、イニエスタ。 神戸はイニエスタの加入後、イニエスタの「彩り」によって選手を成長させてきた。
イニエスタの申し子ともいえる選手の代表といえば現在スコットランド・セルティックでプレーする古橋享梧であろう。 世界的プレーヤーであるイニエスタがチームに在籍し、ともにプレーすることで学ぶことや気づき等多く、非常に大きな影響を与えている。
イニエスタ本人の超一級のプレーの質の魅力だけでなく、チームに在籍する選手たちの成長を促すことにも繋がり、選手やチームの成長という現場での影響力に留まらず、広報力や集客力、グッズ販売力などイニエスタの神戸における存在は多大。
そのイニエスタを指揮する監督というポジションは誰が適任なのか、と長い間サッカーファンの中で議論され続けてきた。
イニエスタがチームの核であることは間違いなく、ゆるぎない神戸の武器。
神戸はそのイニエスタがプレーしやすいよう、そしてイニエスタを生かすため、周囲の選手の質の高さにもこだわりをもって獲得してきた。
イニエスタ以外のメンバーも多彩
海外から日本復帰となった大迫勇也や武藤嘉紀をはじめ、今季は浦和で満了になった槙野智章、横浜FMでキャプテンを務めていた扇原貴宏を獲得。 さらにはロシアのウクライナ侵攻により救済措置が取られ移籍が可能になった橋本拳人も加入する。
同じく日本復帰となった際に獲得した酒井高徳や、ロンドン五輪代表や日本代表で活躍した山口蛍など、日本サッカーを代表する錚々たるメンバーが神戸に集結している。
当然それだけの選手たちを揃えるからには人件費は巨額であろう。
イニエスタ一人で年間20億円。(日本にやってきた当初からの3年目までは34億円。契約延長で20億円ほどになったとのこと) それだけでJのチームを運営できてしまう規模の年棒。それに加え、他ビッグネーム選手たちが並ぶ。
しかし、今季8戦未勝利と状況の悪さを更新する形となった神戸。新しい兆しは見えたものの今後結果が伴わないという状況となれば、監督交代は避けられないであろう。
今後のイニエスタの生かし方に注目
三浦淳寛監督がこの強力なメンバーの最大限を出せていたかといえば、難しい。Jリーグ3位という結果は出したもののJリーグ3位の位置を目標にすべきお金のかけ方ではないからだ。
イニエスタを知るであろうスペイン人であるリュイス監督に交代となったわけだが、リュイス監督が今後神戸の看板であるイニエスタを生かすためどのような布陣で、どのようなサッカーを敷くのか注目したいところだ。
今後の監督については、成績次第では欧州のシーズンが終わる5月6月頃になにか進展があるのではないかと予想する。パリサンジェルマンのセルヒオ・ラモス、バルセロナのブスケツの神戸加入の噂もあるほどだ。
海外でプレーした経験のある選手が多いだけに、海外で指揮している監督が神戸には適正なのかもしれない。
問題視された新体制 永井秀樹氏の入閣
最後に永井氏のスポーツディレクター就任についても触れておきたい。
新体制を発表したヴィッセル神戸だが、この人事を前に多くの人々の意見と疑問が飛び交う論争に発展した。 なぜならば、昨季、東京Vの監督としてチームを率いていた永井秀樹氏だがパワハラが認定され、S級ライセンスの1年間の停止など処分を受けている中で、ヴィッセル神戸のスポーツディレクター就任が発表されたからだ。
この役職は監督人事や選手選考、編成に大きな発言権を持つ役職であるだけに、パワハラをした人間が監督以上の実権を持つということに意義を唱えた人が多く発生。 神戸サポーターだけでなく、多くのJリーグサポーターが反応をみせた。
それを受け、神戸は永井氏の起用について、記者会見とサポーター会議を開き三木谷社長が事情を説明。永井氏には加えて教育プログラムを課すことを発表した。
8戦未勝利である上に、人事に関する反発でサポーターの不満は爆発状態。 チームの向かう先とサポーターが考えるチームの方向性へのズレと溝を埋めるためにも、今後の戦いと動き、そして結果が重要となるであろう。
まずはリーグで1勝を!!
現在17位。最下位(18位)の湘南は試合数が2試合も少ないため、神戸は現在非常に難しく厳しい状況にある。
強力な選手たちを揃えても「チーム」ではないのであれば、魅力そのものがなくなってしまう。
これからリーグだけでなく、集中開催となるACLでの戦いも待っており、今季はW杯が開催されるため非常にタイトなスケジュールが待っている。
まずはひとつ、リーグでの勝利をマークすること。 1つの勝利が非常に遠い神戸だが、まずはひとつの勝利を。
リュイス新監督が送り出した新たな布陣により獲った1ゴールから感じた可能性。 今後、銀河系軍団が日本を代表するチームへと、クラブへと進化するか注目される。
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カテゴリ:サッカーコラム